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SQL概要2/3
No.2

【SQL概要2】大量のデータを高速に分析できるSQL

データ分析で使える汎用的スキルのSQL

ここまで、データ分析がビジネスにおいて必須である理由を解説しました。では、企業がデータ分析を進めるにあたって、具体的にどのような方法を用いているのでしょうか。

昨今では、BIツール(※5)やデータウェアハウス(※6)を活用してデータ分析を行う企業が増えています。例えば、TableauやPower BIといわれるBIツールを活用し、誰でもデータを見て意思決定できるようにしたり、GoogleのBigQueryやAmazonのRedshiftのようなデータウェアハウスに大量のデータをためて、機械学習や商品のレコメンデーション(※7)などに活用する企業も増えています。これもデータの量が膨大になり、データを活用した意思決定が重要だと認知されている証拠です。

(※5)BIとはBusiness Intelligenceの略で、BIツールは大量のデータを可視化したり分析したりすることができるツール。
(※6)Data Ware Houseを略してDWHとも呼ばれている。データの倉庫といわれているように、アプリケーションに使われるデータベースとは別に大量のデータを保存するためのデータベース。
(※7)顧客におすすめの情報を提供すること。例えば「この商品を買ってる人はこれも買っています」のように商品をおすすめすること。

このようなデータ分析環境において、共通して必要となるスキルがSQLです。SQLはもともと、エンジニアがアプリケーションを開発するときや、データ取得のときに使う言語でした。そのため、プログラミングのような専門的な知識やスキルがある人しか使えないと思っている方も多いでしょう。しかし、データ分析が重要視される時代の中で、データの取得はエンジニアだけの仕事ではなくなってきています。ほしいデータをそのつどエンジニアに依頼していると、意思決定のスピードが遅くなってしまいます。現場で担当している人が自由にほしいデータを取得できると、より素早い意思決定も可能になります。

さらに、SQLのよい点として汎用性の高さがあります。BIツールやデータウェアハウスなど、データ分析を行うためのツールは数多く存在しますが、そのすべてにおいて共通するスキルがSQLです。BIツールやデータウェアハウスは、ツールによって使い方や特性が異なるので、ひとつひとつ覚える必要があります。しかし、SQLは基本となる書き方を覚えることで、これらすべのツールの共通スキルとして活用することができます。

BIツールによるデータ分析

BIツールを活用する一番のメリットは、専門的なスキルがなくても、データの取得や分析ができる点です。自社のデータに連携させることで、誰でもデータが見える環境を作れるため、BIツールを使ってデータの可視化を行っている企業はとても多いです。

しかし、BIツールもデータ分析において万能ではありません。BIツールは分析よりもデータの「可視化」に特化したものが多いです。つまり、ほしいデータを試行錯誤して取るというよりも、あらかじめ決められたデータをグラフなどにして可視化するときに最適なのがBIツールです。例えば、会社の売上や顧客数など、常に見るべき指標を可視化するためには、BIツールは非常に便利です。しかし、ある商品を買った人が半年後、他にどんな商品を買っているのかなど、一時的にある条件のデータを確認したい場合、BIツールで対応するのは手間になる場合があります。

そういった場面で必要になるのがSQLです。SQLを使うことで、データウェアハウスに保存されているさまざまなデータを自由に取得することができます。BIツールで可視化しにくいデータも、データウェアハウスから直接SQLを使い、取得が可能です。また、BIツールからSQLを使って、データウェアハウスのデータも取得できます。つまり、SQLが使えることで、さまざまな分析環境でデータが扱いやすくなるため、データ分析に最も必要なスキルといっても過言ではありません。

このように、BIツールでは可視化しにくいデータでも、SQLを活用することで、自分が必要とするデータを直接取得することができます。BIツールやデータウェアハウスなどのデータ分析ツールを活用するときにも、SQLは重要なスキルです。

DWHとBIツールとSQL
DWHとBIツールとSQL

Excelによるデータ分析の限界

データ分析でよく使われるのがExcelです。Excelは誰もが知っていて、一度は使ったことがあり、優れたツールなのは間違いありません。しかし、Excelでデータ分析をすると、最大でも約100万行程度しかデータを扱うことができず、それ以上のデータを扱う場合は工夫が必要です。100万行扱えればそれだけで十分と思う方もいるかもしれませんが、データ量が増え続ける昨今、100万行以上のデータが必要になることもあります。

また、Excelはデータの量が増えれば増えるほど、処理の時間も増えます。Excelを使ってデータ分析をした方なら経験があると思いますが、データ量が多いとPCも重くなり、処理にも時間がかかります。せっかくデータ分析をしようとしても、処理に時間がかかったら効率が悪く、継続的にデータ分析をすることが難しくなってしまいます。つまり、Excelを使って大量のデータを処理するには限界があるということです。

その点、SQLを使うと100万行程度のデータであれば数秒で処理することが可能です。100万行とはいわずSQLなら数千万、数億単位のデータも扱うことができます。さらに、それらの大量のデータを高速に取得できます。

もちろん、Excelを使ったデータ分析とSQLを使ったデータ分析では考え方が違うので、一概に比較はできません。Excelにはデータの集計、グラフ化、関数を使った処理など、SQLだけでは実現できないさまざまな機能があります。例えば、Excelでは表にしたデータを棒グラフや円グラフに可視化できますが、SQL単体ではグラフを可視化することはできません。SQLはあくまでデータを高速に集計する手段として活用されるため、データの可視化については別途行う必要があります(※8)。

(※8)SQLを実行するツールによっては、集計結果を可視化もできる場合があります。例えば、Redashといわれるツールはデータウェアハウスの役割としてデータの蓄積からSQLの実行ができ、得られた結果をグラフに可視化することができます。

そのため、大量のデータの集計にはSQLを使い、集計した結果をグラフで可視化するためにExcelを使う、といった活用方法もあります。著者もデータ分析をするとき、大量のデータをSQLで集計し、集計結果をExcelにまとめてグラフ化して、関係者に共有した経験があります。無理に大量のデータをExcelで集計するのではなく、データ集計にSQLを使うことで、作業も効率化させることができるのです。

データサイエンティストにも必須のSQL

最近ではさまざまな企業でデータの活用が重要視されていることから、データアナリストやデータサイエンティストを目指す方も増えています。

データアナリストとは、データ分析を使って企業のビジネスにおける意思決定を支援する職種です。データ分析を専門に行う必要があるため、BIツールなどデータ分析のためのさまざまなスキルが求められます。その中で最も必要なスキルの1つがSQLです。SQLのスキルがあればどんなBIツール、どんなデータウェアハウスを活用していても、必要なデータを素早く入手することができるため、重宝されます。

データサイエンティストも昨今非常に人気のある職種の1つです。例えば、2021年の横浜市長選挙で当選した横浜市長は、もともと国内外の大学や研究所でデータサイエンティストとして研究していました。また、宿泊予約事業・レストラン予約事業などを運営する株式会社一休の社長は、データサイエンティストとして会社の経営とデータ活用の業務を両立しています。このように、最近ではデータサイエンティストのスキルを持った方が、市長や社長として活躍されるケースも増えてます。

データサイエンティストもデータを使って企業のビジネスにおける意思決定を支援する職種ですが、データアナリストとの違いは、より高度なデータ分析スキルが求められる点です。データサイエンティストになるためには、エンジニアリング、データサイエンス、価値創造(※9)と非常に幅広い能力が求められます。そして、その中で最も基本的なスキルとして必要なのがSQLです。

(※9)2025年データサイエンティスト協会が定義するスキルセット。

データサイエンティストになるためには、Pythonや統計学の知識が必要だと考える方もいるでしょう。もちろん、データサイエンティストであればPythonなどのプログラミング言語能力も必要ですし、統計学や機械学習のような、より高度な専門知識も必要です。しかし、それらの前にまずはSQLを学習して、データを自由に扱えるスキルを身につけることが重要だと著者は考えます。

データアナリストもデータサイエンティストも、どちらもデータを扱うのが仕事です。しかし、データウェアハウスに保存されている企業のデータは、すべてが扱いやすいデータとは限りません。データの欠損やフォーマットの不一致など、何かしらの不整合が発生することはよくあります。そのようなときに、データの中身を確認するためのスキルとしてSQLが必要です。SQLはデータ分析をするときや、その前段階のデータの確認のためにも使うので、活用する場面は非常に多いです。

このように、データを専門に扱う職種ではSQLは必須であり、最も活用の頻度が高いスキルでもあります。もちろん、データ分析を専門にしない営業職、マーケター、人事など幅広い職種でも、データを使った意思決定は今後必須になります。つまり、あらゆる職種においてデータを活用することが必須になり、そのためのスキルとしてSQLも重要になります。

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