私は前職のWeb系事業会社でゼロからデータ分析組織を立ち上げた経験があり、エンジニア(データエンジニア)とビジネス(データアナリティクス)の2つの領域を統括する組織を構築してマネジメントしていました。
今回は前職でのゼロからデータ分析組織を立ち上げた経験をもとに、データ分析組織を社内に作っていくためのステップや注意点をまとめました。多くの企業がデータ活用の重要性を感じている中で「どうやってデータ活用の内製化を始めればいいのか」という疑問をお持ちの方の参考になれば幸いです。
今回まとめる話は、以下のような企業に該当する方々に参考になると思っています。
時代の変化が激しいなか、データ分析を内製化してデータドリブンな運営を目指す企業は多いと思います。
そんな中で私自身がゼロからデータ分析組織を立ち上げた経験を元に、データ分析を内製化していくための5つのステップをまとめました。
- 経営層の合意を取る
- 兼務組織で小さく始める
- 事業目標に合わせたビジョン・目標設定
- 事業部と連携した小さな成功体験の積み上げ
- データ活用文化の拡大
データ分析組織を作る際、ボトムアップで進めるかトップダウンで進めるかという選択肢がありますが、個人的にはトップダウンに近い形で進めていくことをお勧めします。
理由はシンプルで、ボトムアップでは経営層への説得のハードルが高いからです。データの活用は営業活動やマーケティング活動とは違って短期間に明確な数値的な効果は出ないことが多いです。そのため定量的な成果を出すためには投資のような感覚で、中長期スパンで見ないと明確な効果が出にくいのがデータ活用です。
その状態で、経営層にデータ活用の重要性を説明するのは非常にハードルが高いです。特にデータ分析に詳しくない経営層からすると「それって何の意味があるの?」と問われるケースも少なくありません。現場ベースでデータ分析の重要性を説得するのは、正直なところかなりハードルが高いと思います。
そのため、ある程度経営層がデータ分析の重要性を理解している状態から組織の立ち上げやデータ活用の内製化を進めることをお勧めします。ボトムアップ的に現場のメンバーだけで動き出そうとしても正直うまくいく可能性は高くないと思っています。
私は前職でゼロからデータサイエンスの組織を立ち上げました。もともとウェブエンジニアとしてデータ集計なども担当していた私が、上司に「データ活用専門の組織を作りましょう」と提案し、それが採用され、自分が部長という形で組織を作っていきました。それは進め方としては現場にいた自分からの発信で作った組織なので一見ボトムアップ的に作り上げた組織であるとも言えます。しかし重要なことは、データの活用について当時の上司も、その上の上司も、さらには会社全体としてデータ分析は重要である、という認識があったからそできたものだと思っています。
当たり前と言えば当たり前の話ですが、会社としてデータ活用の重要性を理解していなければ内製化はできるはずがありません。現場レベルでデータ活用したいと思っても現場だけで内製化まで進められるケースも多くないと思います。
最近は多くの企業がデータ活用の重要性を認識しているので、このステップのハードルは以前より低くなっていると思います。ただ、どこまで本気で取り組みたいのかという温度感の違いは企業によってあるでしょう。短期的に効果が見えにくい分野だからこそ経営層の意思としてどこまでデータ分析内製化を進めたいのかを事前に確認・すり合わせすることはとても重要です。
データ分析組織を作る際は、いきなり大きく始めないで、まずは小さく始めることが重要です。ゼロから組織を立ち上げる際、新たに人材を採用するというアプローチや外部パートナーに大金を使って内製化を始めるなどがありますが、それには大きなコストとリスクが伴います。前段でもふれましたが、データ活用は定量的に効果を図りにくい領域です。費用対効果が計りづらいため、初期の段階から大きな投資をするのはリスクが高いです。
そこで、社内の既存リソースを活用した兼務組織の形でスタートすることをお勧めします。
具体的には、マーケティング部門や営業部門など、様々な部署からデータ分析に興味がある人や関連スキルを持っている人をアサインし、兼務という形でデータ分析組織を形成します。こうすれば新たに人を雇う必要もなく、社内のリソースを調整するだけで始められるので、経営層の意思決定さえあればすぐに着手できます。
私が前職でデータ分析組織を立ち上げた際も、最初は全員兼務という形でスタートしました。当時はウェブエンジニアとして開発部門のエンジニアマネージャーをしながら、兼務でデータ分析組織のマネジメントを担当し、他のメンバーも開発部門との兼務という形で始めました。そこから徐々にデータ活用の仕事の割合を増やし、あるタイミングで兼務から主務に変わりデータ分析組織が誕生したというパターンです。
もちろんこれからデータ活用の内製化を進める企業として、最初から適任の人がいない場合も多いと思います。その場合でも以下のようなデータ分析に素養のある人や、個人としてデータ分析に興味がある人をアサインして兼務組織が作れないか検討してみるのが良いと思います。
ポイントとしては社内のデータ集計や分析が一定できる人がアサインされると良いと考えています。例えば社内で部分的にデータ活用ができている場合には、データ抽出ができるエンジニアの方をアサインできると良いと思います。データ分析内製化にむけては必要なデータを必要なタイミングで取得するということがとても重要になるため、それができるスキルを持った人が組織にいることは非常に重要です。
もし社内でデータ活用が全くできておらず、データを抽出したり分析できる人が社内に誰もいない状況でれば、その部分だけは外部パートナーを巻き込む方法もあります。ただしその場合に重要なことは、あくまで組織立ち上げの主導は社内の人がやるということで、あくまで一部分を依頼するという認識を持つことです。組織の立ち上げフェーズや短期的には外部に依存することもあり得るとは思いますが、中長期的にその部分も含めて内製化をする計画は立てる必要があります。
組織とは会社としての戦略を実行に落とし込むために作られるチームです。会社としてデータドリブンにしたい、という思いや戦略があるのであれば、会社の意思決定としてデータ分析組織を作るのはあるべき姿だと思っています。繰り返しになりますが、兼務での組織作りであれば経営層の意思決定さえあれば今すぐにでも実現できます。まずは小さく組織を作ってデータ分析内製化に向けて一歩踏みだすことが重要です。
組織を立ち上げたら、次はその組織のミッション・ビジョン・目標を設定することが重要です。データ分析内製化といっても組織を作って終わりではありません。むしろ組織を作ってからがスタートでそこから何を目指すのか、何をやるのか具体的なロードマップを考えることの方が重要です。
その際に大切なのは、会社や事業の目標に沿った形でデータ分析組織の目標を設定することです。データ分析はあくまで「手段」です。組織を作ることが目的になってしまい、組織を作って終わり、というケースがよくありますが、それでは意味がありません。本来の目的は会社として持続可能な成長を遂げることであり、売上向上やコスト削減などの事業目標を達成するためにデータを活用するという視点が重要です。
例えば会社として『3年で売上2倍』といった目標があったとします。その時に会社として目指す大きな方向性に合わせる形でデータ分析組織のビジョンも掲げる必要があります。例えば売上アップに関してはデータに基づいた顧客理解を深めてマーケティング高度化を支えることで貢献したり、社内のデータ利活用スキルやマインドを向上させて会社の売上増に貢献する、などデータ分析組織が向かうべき方向と会社としての方向を合わせることが重要です。
もちろんデータ分析は短期的に成果が出るケースは少ないです。手動でデータ集計をしているところをBIツールを使って自動化するなどで短期的に効果が出せる部分も一部ありますが、多くは中長期的に効果が出て、かつ定量的には効果が見えにくいことが多いです。データ分析組織があったから売上が上がった、などは確認しずらいのも事実です。
だからこそ、初期のタイミングで、データ分析によって会社としてどうなっているのが良いのか、会社の目標に合わせてデータ分析組織の目標も設定する必要があると思っています。このような定量的に可視化しにくいことは後からいっても説得力が弱いですが、先に宣言しておくことでその効果もあった、と認めやすい傾向もあります。
具体的な目標設定方法について、私が前職で立ち上げたデータ分析組織の事例をご紹介します。前職では、デジタルコンテンツを販売するサイトの運営をしていたこともあり、事業としてデータ分析をしていくことと、プロダクト開発にデータを活かしていくことの2つを大きなミッションとして掲げていました。特に「誰もがデータを利活用して素早い意思決定ができる」にはデータによる意思決定の質と量を上げていくことを目指す意図で設定しています。
また、当時は具体的な目標設定手法としてOKR(Objectives and Key Results)を用い、定性的に目指すべき姿と定量的な指標を設定しました。OKRを採用した理由は2つあります。
まず一つは定量目標と定性目標をうまく関連させた目標設定として活用できると思ったからです。データ分析の目標自体は「データドリブンな会社にする」「誰もがデータを活用できるようにする」など定性的な目標になりがちです。目指すべき姿として定性的になることは当然だし、それはそれで必要だと思いますが、もう少し日々の活動につながるような定量的な目標もあった方がより組織としての活動も進みやすいと考えていました。なので例えば、定量的な目標として「アクション実行数」「提案数」「分析数」「運用数(可視化数)」などを目標として設定しています。重要なことは「データ分析の数」や「データ集計の数」といった、いわゆるデータ分析チームがよくやるような指標だけでなく、分析結果がどういった意思決定につながったか、次のアクションにつながった数など、事業への貢献度合いも目標として設定しました。これにより、単に分析するだけでなく意思決定やアクションにつなげることをチーム全体で意識できる形にしました。
OKRを採用した理由の2つ目は、当時は新しくゼロから作った組織だったので、チームとしても今までの会社ではやっていないなような新しいことにチャレンジするという意味で、OKRを使って目標設定をしました。新しい組織ということもあり、これらの目標は私一人で作ったのではなく、チームメンバーと一緒にディスカッションして作り上げた目標です。何をするのか、どこを目指すのか、人から言われてやるよりは多少なりとも自分で考えて自分ごと化して進めた方が、特に新しい組織の場合は重要だと考えたので、チームメンバー全員で目標を考える、ということを実施しています。
もちろんこれはあくまで一例で、もっとよりより目標設定方法や管理方法もあったかもしれません。いずれにしても会社の目指すべき方向とデータ分析組織の目指すべき方向は必ず合わせる必要があります。それを考慮せず組織としての活動を進めても効果が限定的になってしまうので、事業目標に合わせたビジョン設定は非常に重要なポイントです。
データ分析内製化に向けて、単に組織を作るだけであればそこまで難しくありません。経営陣の意思さえあれば兼務組織としてすぐに組織化はできます。しかし、難しいのは組織を立ち上げた後に実際に組織としての活動を行うフェーズです。組織を立ち上げるのはあくまで手段なので、その組織でどんなことをするのかビジョンや目標に沿った行動をとることが重要です。その際に大切なことは、データ分析組織だけで孤立するのではなくしっかりと事業部と連携することです。事業部と連携しながら小さな成功体験を積み上げていくことが会社全体をデータドリブンに進めるための第一歩だと考えています。
組織を作るとどうしても縦割りになりがちで、データ分析組織が独自の活動をして進めてしまいがちです。例えば課題がないのに勝手に分析を進めるとか、技術ドリブンでデータ基盤を作り始めるとか、新しい技術を導入してみるとかをやりがちなケースも多いと思います。しかし重要なことはデータ分析によって事業に貢献することです。そのためには、データ分析組織単体で行動をするのではなく、各事業部との連携が必要不可欠です。具体的には、事業部へのヒアリングを通じて課題を洗い出し、データ活用でどんな課題をどのように解決できるかを一緒に考えていきます。これは組織を作る時に、まずは事業部からの兼務メンバーで組織を作ることに関連していますが、そうすることで事業部とデータ分析組織の連携もしやすくなるメリットがあります。
例えばですが、マーケティング部門がECサイトの売上アップのために割引キャンペーン、送料無料キャンペーン、ポイントアップキャンペーンなど様々な施策を実施しているとします。それらの試作でどれがどの程度効果が出ているかがわからずなんとなく売上に良さそうだからと言う理由で色々なキャンペーンを実施している状況だとします。その時に各施策の定量的な効果を検証し、コストと照らし合わせてどの試作が一番RIOが高いのかを分析します。そうすることでROIの低い施策は減らしてより効果の高い試作に注力することでより効率よく売上を上げることができる可能性があります。
ここで重要なことはマーケティング部門として「施策の効果を可視化して止める施策と継続する施策の判断をしたい」という課題があってはじめて分析を伴走することです。かならず各部門の課題を聞いて、それに対してデータ分析をすることでどんな意思決定に貢献できそうかストーリーを考えた上で分析を進めることが重要です。
このようにたとえ小さなことだったとしても、事業部の課題をデータ分析によって解決して意思決定をしていく活動ができれば、「データ活用は事業運営に必須だ」「もっとデータを活用すればより良い成果が出せそうだ」という流れに繋がっていきます。データ分析を立ち上げるとデータウェアハウスやBIツールの導入など、大きなプロジェクトを始めたくなる気持ちもわかりますが、まずは事業部の課題に焦点を当て、小さな成功を積み上げていくことが大切です。
小さな成功体験を積み重ねるという観点では『効率化』が最も良いと考えています。データ分析によって売上を上げるというのは短期間で目指す成果としては難易度が高く、効果も検証しずらいです。その点、効率化やコストカットなどであれば明確な成果として測りやすいです。
データ活用における効率化の1つはBIツールなどを使ったデータ集計の自動化があります。例えば毎週事業のKPIを手動で集計していて集計コストがかかっている場合であれば、BIツールを使ってKPIのダッシュボードを作り、データ集計コストを抑えて効率化をする方法があります。
短期に成果を出す取り組みとしてデータ集計の自動化で効率化を行い、その後中長期的なデータドリブン活動を進めていくやり方はとても現実的であると考えています。
ここでも重要なことは、各事業部に課題を明確にして、何の集計を自動化できると良いのか、どんなダッシュボードを作ると効率化に繋がるのか、などを事前にヒアリングしておくことです。良かれと思って勝手にダッシュボードを作ったが、結果的に誰も使わないなら意味がありません。
データ分析で成功体験を作るには事業部との連携が必須です。なので前職でデータ分析組織を立ち上げた時も、自分含めてメンバーのデータアナリストにはそれぞれ担当する事業をつけていました。(Aさんはマーケティン部門担当、Bさんは営業担当など)そうすることで、その事業部が見たいデータがあればまずは担当のアナリストに相談する、という流れができます。データ分析組織のメンバーであっても担当の事業部の会議にも参加してもらい、どんな課題があるのかをリアルタイムで把握することで事業部と伴走してデータ活用を進める体制を作っていました。(兼務で各事業部からデータ分析組織を立ち上げた場合はこのような事業部との連携もしやすいのもメリットです)
データ分析において最も重要なことは「課題の設定」や「仮説の検討」です。課題や仮説を解像度高く考えるためには事業自体のドメイン知識が必要です。その事業内容に精通してどんな課題を解決できるとどんなアクションに繋げられるかをストリートして考える必要がります。それができるのはドメイン知識を持った各事業部の人たちです。なので本質的には事業部の人たちが自分でデータ分析ができれば、データをもとにした意思決定が高速化できます。なので、データ分析組織は事業部と連携しながら課題を明確にして、仮説を立てて、データで検証していく取り組みが重要です。
データ分析組織としての重要な活動の一つに、会社全体としてデータドリブンな文化を作っていくこともあります。そのためには社員一人一人がデータ活用のスキルとマインドを持つ必要があります。そのために活動するのもデータ分析内製化に向けて重要なことです。
会社全体をデータドリブンな組織にするにはそれなりに時間がかかることです。短期的にできることでもなければ、何か1つのこをすれば良い話でもありません。長期的にかつ複合的な活動をしていく必要があります。例えばデータドリブンにするための具体的な取り組みとしては以下のようなことがあります。
もちろん上記以外でもやるべきことやできることはあると思いますが、これらは私が前職でデータ分析組織を立ち上げた後にやったことでもあります。
BIツールを使ったダッシュボードの作成とその活用は組織としての活動としてのアウトプットとしても分かりやすく、かつ実際にデータドリブンな会社作りにも必要な重要なことだと思っています。例えば会社のKPIをダッシュボードで見える化して、全社員いつでもKPIを見れるようにすることで日々数値に対する感度を高めることができます。
前述した通りダッシュボードを作ることで今まで手動で時間をかけてデータ集計していたところ自動化して効率化できるメリットがあります。このような効率化がかず多くできると会社としてもデータを活用しやすくなったり、BIツールを積極的に使ったりもするための非常に効果的です。
また、似たような取り組みでダッシュボードではないですが、日々の売上をSlackに毎日通知するようなチャンネルを作って数値に対する感度を高める取り組みなども実施していました。
必要な時に必要なデータを取得して素早い意思決定をできるようにすることはまさにデータドリブン会社として目指すべき状態だと思っています。そのためには特定のメンバー、例えばデータ分析組織だけしかデータにアクセスできないようだとできることが限られてしまいます。データの民主化とも言われるように誰もがデータにアクセスできるようにする環境作りはとても重要です。具体的にはDWHの導入やデータマネジメントの検討など、どんなデータをどのように活用していくのかを考えたり、そのための環境を準備することでデータドリブンな組織に近づけることができます。
この領域はデータエンジニアリングの領域でもあり、ある程度専門知識も必要になります。専任のデータエンジニアがいない場合は他の社内のエンジニアと協力したり、外部ベンダーと協力してデータ基盤作りを行うことが重要です。
データ分析スキルには様々ありますが最もベーシックかつ使用頻度も高いのがSQLです。SQLはデータアナリストがデータ分析の際によく使いますし、BIツールを使ったダッシュボード作成でも使います。そのためにデータ分析の基礎スキルかつ実践でも使えるスキルとして、社員にSQLを覚えてもらうための勉強会を実施するのもデータドリブンな組織作りの重要な取り組みの1つだと考えています。
例えば前職では、私自身がSQLを得意としていたので、まずは組織のメンバーにSQLのスキルを教えました。その結果、それまでSQLをあまり使えなかったメンバーが、データ分析に必要なレベルのSQLを書けるようになりました。さらにその教えたメンバーが他の事業部の人にもSQLを教えていく、といった活動も行いました。SQL勉強会を開催して「データが気軽に取れる」という雰囲気を作り、基本的な知識やスキルを全社的に広げていった取り組みです。
SQLは学習難易度も高くなく、かつデータ分析の実践でも使えるスキルなので、勉強会を実施している企業は非常に多いと感じます。以下は社内でSQLを推進している企業の例です。
SQLの学習はそれをデータ分析として使う使わないに関わらずデータ活用リテラシーを高めたりデータドリブンな組織作りのための取り組みとしても重要です。使わないから学ぶ必要もない、というわけではなくある程度の基礎を理解したりSQLで何ができるのか学ぶことでデータ活用のマインドとスキルを底上げするための活動になると感じています。
データ分析はそれ自体がナレッジとなり資産ともなります。どんな課題に対して、どんな分析をして、その結果どんなアクションに繋げたのか、これを会社全体で共有することでナレッジが溜まりデータ活用としての意味もかなり大きくなります。
そのためにどんな分析をしたのかを一定のフォーマットに沿ってドキュメント化し誰でも見れるようにしたり、過去の取り組みを見た上でまた新しい取り組みや分析ができるような仕組みを前職では作っていました。
具体的には以下のようなフォーマットで分析ドキュメントをまとめていました。ドキュメント管理ツールはConfluence、Esa、スプレッドシード、Notionなど様々あるのでそれらに以下の内容をまとめることでデータ分析を社内に広めることができると思っています。
事業部目線では、過去に分析した内容を元にまた事業プランや施策を考えたりできるメリットがあります。データ分析組織目線ではどんな分析でどんなSQLを使ったのかなどを参考にすることで、また次の分析のゼロベースで実施する必要がなくなるため効率化できます。
このようにデータ分析結果自体をオープンにして共有することもデータドリブンな組織作りとのして重要なことの1つだと考えています。
データ分析組織の内製化は一朝一夕でできるものではありません。だからこそ戦略的にかつ段階的に中長期目線で実施していく必要があります。
ここで紹介したのは私が前職で立ち上げたデータ分析組織のことを中心にまとめたものです。企業に応じてそれぞれの進め方があると思いますし、細かいアプローチもそれぞれ変わってきます。
それでも今回紹介した5つのステップはどの企業においても重要なステップであると考えていますし参考になるもだと思っています。
私は現在は『SQL Everyone』というサービスで、データ分析スキルであるSQLを使える人材を育成することで企業のデータ分析の内製化を支援するサービスを提供しています。
これはデータ分析の内製化の一番の課題が人材育成であると感じているからです。本記事で紹介したデータ分析組織の内製化に関しても、実際にデータ分析ができる人材がいないと進めるのが難しいのも事実です。
もしデータ分析の内製化をしたい企業があればこれら経験を元にカジュアルに相談できればと思います。もちろんSQLに関連した相談でもよいですし、SQLに関係のない相談でも全く問題ないので、ぜひお気軽にご相談ください。
一人でも多くの方がデータ分析スキルを身につけてデータ分析内製化ができる企業が増えるように貢献できればと思います!
SQL入門書